【販促における妥協点】
息子の友達から
「サインください」
「???」自宅におしかけられた。
彼は中学生。YouTuberになりたい演劇部のオタク系音楽好き。昔の仕事で当方の名前が公開されているのを発見したらしく、息子に問いつめたよう。
「さわやかにエロいしアニメだし神曲やし…それを作ったのが宇井くんのお父さんだとは!!」
芸能人か何かと勘違いしていらっしゃるよう(ちがいます!)。
まあ、内容が中学生男子にとっては琴線に触れて刺激的だったのでしょう(それを狙った部分もありますがw)。
ずいぶん前の仕事で自分としては役割はとっくに完了しているのでびっくりでした。納品が終わると自分の仕事は見なくなるのが常なのですが、これをきっかけにじっくりと通して見直してみました。
見てみると500万回転こえていました。これが多いのか少ないのかわかりません。なにせアップから5年たってますから。
もっとやりようがあったとは感じるところもありますが、いかに予算と納期を詰めて販促効果を上げるのか?ということばかりを考えてディレクションしていた当時のことを少し思い出しました。
当初この企画は萌キャラをつかったフルアニメーションを制作というところから始まったと記憶しています。ご担当部長と一生懸命考えました。
宇井「フルアニメーション30分ものを作ると最低でも1,000万円が相場だと言われています。」
ご担当部長(即)「無理です。(きっぱり)」
「教科書のような説明ビデオでは面白くないし。。」
↓
「役者で寸劇風は?」
↓
「却下っ!」
↓
「萌キャラをつをつかって説明ビデオを作ろう。」
↓
「萌キャラ(ボーカロイド)に歌わそうか?音楽をつけようか?」
↓
「アニメ番組のオープニング風のものにしよう。」
と、なりました。
結果はアップして半年くらいでバズり、いち日で約500,000回転した日もありました。
「性教育」と「アニメ風オープニング」という意外な組み合わせが面白がられたのでしょう(バズりましたが炎上はしていません)。
【コストを落とすためやったこと】
●フルアニメーションは予算的に無理→プレミアなどの動画編集ソフトをつかって最低限うごかす。
●主にイメージボードで構成(ど頭のタイトル部分の動きはアニメーターの山元さんチームに感謝)。
●作曲は当方が自身でやる(がんばりました)。知り合い経由の紹介などで楽曲制作チームを編成。※多少自分も音楽などやっていたのでお友達に感謝。
【ねらいと反応】
●当時流行っていたゲームやアニメの主題歌およびボカロの曲調を目指した→「お魚天国」に似ているといわれた。
●萌系のキャラテイストをねらった→アニメーター山元さんの爽やかなタッチがいやらしさやエロさを和らげて好意的に受け入れられた。
●第三者に二次創作を自由にして拡散してほしかったので音源もフリーで配布した。曲調もギター一本で再現できる簡単なコードをつかってコピーしやすくした。→第三者によるカバーがtwitterで投稿された。どこだかの学園祭にもリミックスされて使われたよう。
●高校の性教育の授業でとりあげられたらしい(Twitter情報)。
装置動画「ラブ活☆はあときゅるり」 【高画質】 http://t.co/BwMcp5M64C
これ保健のときみんなで見たやつ。
— トッティー (@mrm2_5) 2014年12月13日
「ラブ活☆はあときゅるり」 ラブ活応援ソング – YouTube http://t.co/cVKCzkN56P
こんな動画を見つけました!ふざけているようで実はポイントを押さえていたり•••ぜひご覧ください👀
— 思春期保健委員会 (@shishunkihoken) 2013年12月19日
コンドーム装着動画 「ラブ活☆はあときゅるり」 【高画質】: http://t.co/u9cQn8YDCh @youtubeさんから
そこらのボカロかと思ったら全然違った。泣いた。
— mat (@vyvw3_tomato) 2013年10月20日
予想通りボロクソの評価もあり(個人的にも)。しかしながら学会などからはそれなりの高い評価をいただいたようです。
クライアントであるジェクス株式会社さまのご担当部長ご自身の評価は下のリンクをごらんください。
https://www.huffingtonpost.jp/nishimoto-misa/jex-sex-education_a_23374948/
【販促における妥協点の本当の意味】
「妥協」という言葉は決してネガティブに使っているのではありません。販促業務というのは「予算と費用対効果予測ありき」ですので、その予算内で一石二鳥ではなく三鳥でも四鳥でも取れる工夫をすることだと思います。
写真一つにしてもデジタルであることで使い回しができますし(汎用性が高い)、音楽や動画も同様でフリーで配布してしまえば自由に第三者が二次創作して拡散してくれるかもしれません。
「面白いもの」、「素敵なもの」を整理してちゃんと発信することができれば、それが自ずと販促になると思います。飲食店や美容院の販促にしても「割引クーポン」や「アカウントフォローで割引」などのやり方には限界があると思います。たんなる割引ではなく、意外な要素のマッチング(組み合わせ)や店長のキャラを打ち出していくほうがいいと思います。これについてはまたの機会に書きます。
インターネットの検索最大手Googleは「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。」と宣言しています。昔の小手先のSEO対策では全く相手にされません。Googleの人工知能にはかないません。「正直」に「きれい」に「定期的」に「人間」が情報を発信していく必要があります。
個人経営のお店や小さな会社のお手伝いをさせていただくことが多いですが、インターネット上で無償で使えるツールすらご存じない、または、めんどぐさがってやらないケースがたいへん多いです。ご自身でできることなのにもったいない。
大企業さまは大手の代理店さまにおまかせして潤沢な予算で販促していただければいいのです。
当方は「小さな販促」を得意としています。限られた予算で、最大限のコストパフォーマンスを考え出すのが仕事です。個人的にそれがおもしろいのです。
さて、冒頭の息子の友達の中学生くん。うちと違い、かなりのお金持ちらしい。いい機材、いいカメラ、スペックの高いパソコンも比較的かんたんに手に入るよう。
近い将来、コストのことなど全く考えずに時間をかけて制作してすばらしいYouTuberになれるのか?
さては、三流のYouTuberの如く「ハイっ!というわけでぇ〜今日はぁ〜。。。」という語彙力が限りなくゼロの「ユーチューバカ」になるのか?
楽しみです。